ジュニアNISA廃止時代の子どものための資産運用について考えてみた

Submitted by user on Fri, 02/16/2024 - 17:11

皆さん、2024年の投資は儲かっていらっしゃるでしょうか? 僕はほぼインデックスにしか投資していないんですが、それでも年明け以来の米国株式市場の好調のおかげで資産を順調に増やさせてもらっています。とはいえ、これは所詮含み益に過ぎなくて、いつかドカーンと目減りすることも覚悟しないといけないのでしょうけれどね。

さておき、今のように市況が好調なとき、資金に余裕があるのであれば、自分以外の家族の資産も増やしてあげたいと思う人も多いんじゃないでしょうか。このブル市場の追い風を受けて、資産を大きく伸ばせる可能性がありますからね。そして、もし子どもがいれば、自分がたとえいなくなっても子どもにお金で心配させたくない、しっかり資産を蓄えさせておいてあげたいと思うのが親心というものでしょう。

ということで、子供のための資産形成について少しだけ考えてみました。

今までのベストプラクティス

まず、昨年までであれば、ジュニアNISAという制度を使うのが一番良かったと思います。
金融庁:ジュニアNISAの概要
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/overview/index.html

これは、18歳未満を対象に、毎年80万円までの枠内で使えるNISAの亜種でした。

しかし、今年(2024年)に一般NISA/つみたてNISAが廃止されて新NISAとなったのと同時に、このジュニアNISAは廃止されてしまいました。この新NISAでは対象が18歳以上のなってしまったので、子ども名義のNISA口座を開いたり運用したりすることはできません。

なお、余談ですが、新NISAについて知りたい方はこちらをご覧ください。
金融庁:新しいNISA
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html

2024年以後のベストプラクティス

では、今できる子どものための資産形成とは、どういう形のものになるのでしょうか?

それは、子ども名義の通常の特定口座で資産運用をして、そこで利益確定をして生じた所得に対して基礎控除を利用するというものです。基礎控除には納税者本人の合計所得金額に応じて異なる控除額が適用されるのですが、テスタさんのような特殊な人を除いて、僕を含めた多くの人の運用資産から生み出せる利益は2,400万円を下回るでしょう。この2,400万円以下の所得の場合、年間で48万円が所得から控除できます。
国税庁:No.1199 基礎控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm

つまり、1年間の確定された利益が48万円以内であれば、48万円の基礎控除を所得から差し引くことで実際に税金が課される課税所得が0円となって、特定口座で天引きされていた所得税の還付を受けることができるのです。仮にリターンを10%とすると、48万円の利益を生み出す運用資産は480万円。新NISAの年間360万円を超える運用ができてしまいます😅

子どもが0歳の時に証券口座を開設してこの方法で運用した場合、18歳までの間の19年間で912万円の節税を合法的に受けることができる…はずです。

贈与税のこと

実際には、親が子どもに投資資金を渡す時には贈与税のことも考慮しなくてはならなくて、年間で110万円の枠内に収める必要があります。
国税庁:No.4402 贈与税がかかる場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm#

この枠内で子どもに贈与したお金を投資資金として、年間リターン10%を出したとして、実際の利益は11万円。これを19年間続けた場合、209万円の節税(所得税・住民税の控除)ということになります。もちろん運用が上手な人はもっと高い利益率を弾き出することも可能です。その場合、先に述べたように年間で48万円、19年間で912万円が上限になると思います。

注意点・問題点

このやり方は複利を利用しづらいです。このやり方では毎年リターンを出すことが前提(将来における単年の利益が48万円に収まるなら、パフォーマンスが悪い年は利益/損の確定をしなくても可)なので、複利を利用して資産を大きく育てるということは難しそうです。

また、毎年とまではいかなくても、ある程度コンスタントに利益を出す必要があるので、長期投資が前提のインデックス投資ではなく、アクティブ投資になる気がします。プロのファンドマネージャーであってもアクティブ運用をしているファンドがインデックスに勝つのは難しいと言われているぐらいなので、アクティブ運用できちんと年間48万円の利益を出せるかどうかが鍵になりそうです。

そして、控除を受けるには、そもそも子ども名義で確定申告をすることが必要です。一社からしか収入を得ていないほとんどの会社員にとって、確定申告は初めての経験となるでしょう。この手続きの面倒さを乗り越える必要があります。

まとめ

最後に少し注意点や問題点を述べましたが、それでも節税を受けられるというのは有り難いです。本格的な資産運用となればオルカンやS&P 500といった定番投資信託/ETFの長期投資に敵う手法は無いと思いますが、こうして節税して得たお金を使って定番投資信託/ETFに再投資しておくとか、銀行口座に貯めておいて18歳になって成人となった暁に新NISA口座で定番投資信託/ETFを買うなどすれば、何もしないよりは資産が多いところからスタートダッシュをかけられるので、有利なんじゃないでしょうか。

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